親権について

離婚の際に子どもの親権はどうやって決まるのか、親権を獲得するために知っておきたいポイントなどを解説しています。

離婚における子どもの親権とは

親権とは、未成年の子どもが一人前の社会人になるまで監督・保護・教育するために認められた父母の権利義務。親権はさらに「身上監護権」と「財産管理権」の2つに分けられます。

身上監護権とは、保護者として子どもと一緒に暮らし、身の回りの世話をする権利。

財産管理権とは、法律上の代理人となり子どもの財産を管理する権利のことです。一般的にこの2つの権利は親権者が有することになりますが、別々に定めることも可能。しかし、子どもの福祉面から考えると、親権者と監護権者は一致していることが望ましいとされています。

未成年の子どもがいる場合、親権者を決定しなければ離婚をすることはできません。離婚届にも親権者を記載する欄があり、ここが空白では受理してもらえないのです。しかし、どんなに早く離婚をしたくても、親権を易々と決めてしまうのは厳禁。一度決まった親権を簡単に変更することはできないため、子どものためにも十分に時間をかけて決定することが大切です。

親権の決定方法

親権を決める方法として、まず夫婦による協議(話し合い)があります。親権はどちらの親にも権利があり、離婚の原因を作った側が親権者になれないということはありません。親権を決める際に最も考慮されるべきは、子どもの幸せと生活環境。どちらと一緒に暮らした方が経済的・精神的に安定した生活が送れるか、福祉・教育面で有利になるかを第一に考えるべきです。

協議で親権が決定できない場合は、家庭裁判所へ調停もしくは審判を申し立てることになります。ただし、調停や審判となった場合はかなり特別な事情(育児放棄・虐待など)がない限り、父親が親権を獲得できるケースは非常に稀となっています。とくに10歳以下の子どもがいる場合は母親と共に生活することが望ましいとされており、母親に親権が認められるケースが8割以上となっているようです。

親権を獲得するためのポイント

調停や審判で親権を獲得するためには、以下のようなポイントが考慮されます。離婚の原因を作った側であっても、親権を獲得する権利はあります。

  • 子どもに対する愛情

両親の離婚によって守られるべきは、子どもの幸せ。よって、子どもに対する愛情が大きいとみなされる側に親権が認められます。これは、現在子どもと生活している方・子どもと生活した時間が長い方(夫婦が別居していた場合は共に暮らしていた方)が、子どもに対する愛情が大きいと判断されます。

子どもの監護状況が1つのポイントとなるため、子どもの養育にふさわしい環境を整備していることをしっかり主張しましょう。

  • 子どもの年齢

乳児・幼児・女児の場合は、母親と一緒に生活した方が適切であると一般的には判断されます。子どもが幼い場合は衣食住すべてにわたって面倒を見なければならないため、特別な事情がない限りは母親に親権がわたります。

  • 経済的能力の高さ

親権を決定するにあたっては、経済的能力の高さも考慮されます。通常は経済的に余裕のある方が有利とされますが、これだけで親権者・監護権者になれるワケではありません。なぜなら、一定の養育費を支払ってもらえれば子どもの養育に関する経済的問題はカバーできるからです。

とはいえ、経済的能力が高いというのは親権獲得にあたってのポイントとなるため、相手側より収入がある場合はしっかりアピールした方がよいでしょう。

  • 男では親権得るのが難しいのかな画像肉体的・精神的に健康であるか

持病などで健康状態に不安があったり、性格・精神的に問題があるといった場合には、親権者としてふさわしくないと判断されることが多いようです。親権を獲得するためには、心身共に健康で子育てに際して何ら問題のないことを主張する必要があります。

  • 子どもと過ごす時間が十分にあるか

子どもと一緒に過ごす時間が多い・子どもに充てられる時間が長いほうが、親権者として認められる傾向にあります。これは親族ではなく、親権を獲得する者が子どもと共に過ごす時間のこと。子どもを優先したライフスタイルに変更し、子どもを第一に考えていることをアピールしましょう。

  • 兄弟姉妹不分離の原則

兄弟姉妹は別々に暮らすのではなく、共に成長していくのが望ましいとされています。そのため、兄弟姉妹が一緒に暮らせる生活環境を提供できる側が、親権者として有利になることもあります。これは、子どもの年齢が低ければ低いほど重要視されるようです。

  • 子どもの意思

親権を決めるうえで、子どもが15歳以上の場合はその子の意見が尊重されます。家庭裁判所では、審判前に15歳以上の子どもからは陳述を聞かなくてはならない(人事訴訟法32条4項)と決められているのです。

ただし、審判は子どもの意思に左右されるものではありません。15歳以上となればある程度の判断は可能ですが、両親の離婚という問題に差し当たり、子どもも正常な判断ができなくなっている可能性があるからです。そのため、子どもの陳述はひとつの参考資料としてとらえられているようです。

親権獲得の調停の流れ

離婚調停で親権を争う場合の流れについて解説します。

1.離婚調停の申し立て

まずは以下の書類を揃えることから始めましょう。

  • 夫婦関係調整調停申立書
  • 申立人の印鑑
  • 申立人の戸籍謄本
  • 相手方の戸籍謄本

以上を揃えて、相手方の住所を管轄する家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。

2.調査官による家庭訪問

親権を争う場合、家庭裁判所調査官による家庭訪問が実施されます。調査官は親と子どもの生活環境を調査し、家の中が荒れていないか・衛生管理はなされているかなどをチェック。また、子どもと直接面談をして親との関わり・生活状況などを聞き取り、子どもの気持ちを掴んでいきます。

家庭の他にも、保育園・学校などへの訪問も行います。

3.調停の実施(3~6回ほど)

調査官が調査した内容は裁判官へ報告され、調停が実施されます。調停では相手側と顔を合わすことなく話を進めることができます。

裁判所から提示された内容に納得できれば調停は成立となり、納得できない場合は不成立となります。どちらにせよ一度終わった調停はやり直しがきかないため、不服がある場合は審判で決着をつけることとなります。

一度決定した親権を変更できるか

離婚をする際には夫婦の話し合いのみで親権を決めることができますが、一度決定した親権は夫婦の話し合いだけで変更することはできません。

親権の変更だなんてしないわよ画像親権を変更する方法は法律で決まっており、親権者変更調停という手続きを利用して行うこととなります。この手続きは、話し合いで変更の合意があった場合でも必要です。親権の変更が認められるのは、以下のようなケースとなっています。

  • 親権者が病気を患ったり、長期入院で子育てができなくなった
  • 海外赴任などで、やむを得ず子どもを育てられない場合
  • 子どもの養育環境の悪化
  • 親権者による子どもへの暴力・虐待
  • 子どもの世話をせず放置している
  • 子どもを養育する意思・責任感がない
  • 子どもに労働を強制
  • 継母・継父などと不仲
  • 子どもが親権者の変更を希望している

親権者変更調停を申し立てると、家庭裁判所から調査官が派遣されて調査が実施されます。調査官は申し立て内容と事実の調査を行い、子どもの利益・福祉の観点から親権者の変更が必要かどうかを判断することとなります。また、子どもが15歳以上の場合は陳述を聞き、その意思を尊重します。

面会交流とは

面会交流とは、離婚によって離れて暮らすことになった親と未成熟な子供が面会・交流を行うこと。非監護者(子どもと離れて暮らす親)には面会交流権というものがあり、これには直接会うだけでなく、電話で話す・メールや手紙のやり取り・成績表の送付・プレゼントの受け渡しなどが含まれます。

離婚をしても「子どもに会いたい」と思う親の心理は自然なこととされ、権利として認められているのです。

面会交流は、子どもの福祉観点からも重要なこと。交流をすることで、子どもは離れて暮らすことになった親からも「愛されている」と思うことができ、精神面の安定や健全な成育に繋がるとされています。家庭裁判所でも面会交流の価値を認めており、子どもの幸せにとって大切なものであるとしています。

面会交流の決め方

非親権者から子どもとの面会を求められた場合、可能であれば父母間の協議で面会交流の有無・条件(面会交流の方法・回数・場所・日時など)を取り決めます。協議で合意できればよいですが、話がまとまらなかったりそもそも協議が不可能な場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てることとなります。申し立てを行う場所は、調停であれば相手側の住所地を管轄する家庭裁判所、審判であれば子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。

調停では、中立的立場である家庭裁判所の調停委員が間に入って話をまとめていきます。このとき、原則的には相手側と顔を合わせることはありません。何回かの調停を繰り返し、それでも話がまとまらなかった場合は審判へと移行し、裁判官に解決方法を委ねることになります。

面会交流の条件

子どもとの面会交流を実施する場合、親権者は子どもの福祉を考慮してさまざまな条件を定めることが可能です。父母間がスムーズに連絡を取り合えたり、協議ができる場合は細かい条件を決める必要はありません。

しかし、父母間の折り合いが悪く信頼関係がない場合は、以下のような条件をしっかり決めておくべきです。

  • 面会交流の日時・回数

今は離れているけど会いに来たよの面会交流画像面会交流の頻度は、子どもの年齢にもよりますが月に1~2回程度というケースが多いようです。時間は、小学校入学前の幼児は2~3時間ほど、小学生以降は半日~1日ほどとなっています。日程は「毎月第○土曜・日曜」、時間については午前10時~午後12時などと、具体的に決めておくことが大切です。

  • 面会の場所・受け渡し方法

父母間の信頼関係がない場合、子どもの面会場所・受け渡し方法はキッチリ決めておくべきでしょう。子どもが1人で会えない年齢の間は親権者が付き添う、一定の年齢になったら1人で会わせるようにするなど、具体的な方法を決定しておきます。

ただ、協議であれば「指定する場所に連れて行かない」などの条件を出すこともできますが、調停・審判になると場所の指定は難しくなるようです。

  • 連絡方法

面会の日時・場所を決めていても、急に変更になることがあると思います。その場合の連絡方法をあらかじめ決めておきましょう。連絡方法は、直接会う・電話・メール・LINE等どれでも構いませんが、確実に連絡が取れるようにしておくことが大切です。

面会が制限されるケース

面会交流は親に与えられた権利であるため、離婚した相手に子どもを会わせたくないと思っても拒否することはできません。ただし、以下のようなケースであれば面会交流を拒否できます。

  • 子どもへの暴力・虐待があった場合

相手が子どもに暴力をふるっていた・虐待をしていたなどの過去があり、今後もそのような事態が起こる可能性があるときは面会交流が制限されます。しかし、更生して子どもに暴力・虐待をする可能性が低くなっており、子どもも恐怖心を感じていない場合などは、面会交流が認められることもあります。

  • 子供を連れ去る恐れがある

過去に子どもを連れ去ったことがあるなど、前例がある場合は面会交流が制限されます。子どもをムリヤリ現在の環境から引き離す行為は、子どもの健全な成育に悪影響であると考えられているからです。

  • 一定の年齢に達した子どもが面会を拒否している場合

子どもが一定の年齢(10~12歳程度)に達しており、子どもが面会交流をしたくないと意思表示していれば、実施を拒否することができます。ただし、10歳以下の子どもの場合は一緒に暮らしている親の影響が大きいと考えられるため、たとえ子どもが拒否する意思を示していても重要視されるとは限らないようです。

面会交流に相手が応じない場合

基本的に、一度決定した面会交流を拒否することはできません。しかし、話し合いのみで面会交流の条件などを取り決めた場合などは、あれこれと理由をつけて子どもと合わせてもらえないというケースも多くなっているようです。

相手が面会交流に応じない場合で調停を通して面会交流を決定しているときは、家庭裁判所から履行勧告を出してもらうことができます。履行勧告による指導にも応じないときは強制執行もできますが、面会交流においては制裁金を科すという間接強制のみ。人によっては、お金を払ってでも面会を拒否することがあるようです。

履行勧告・強制執行にも応じない場合は、再度調停を申し立てることになります。子どもに会わせてもらえないからと相手側を脅迫したり、ムリヤリ子どもに会ったりすると立場が不利になるので注意しましょう。

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